太陽光発電 岐阜の意外な事実

自動車のユーザーはそれがもたらす社会的費用の3分の1から半分程度しか払っていないのです。 渋滞を引き起こす、空気を汚す、騒音を出す、事故を起こしうる、道路建設に土地を使うといった様々な費用をすべてお金に換算することは困難ですが、車がこうした社会的費用の多くを国民に押し付けていることは意外と知られていません。
自動車とバイオ燃料のために飢えるアフリカに確立していたので、「効率的」「経済的」に発展できたともいえます。 渋滞を解消し、目的地に速く着けるといった時間を短縮する「便益」面だけから道路建設を決め、必要以上に環境を壊すというコストは過少計上されてきたのです。
くり返しになりますが、国交省は、乗用車利用の場合、経済効果を1時間3000円強と試算しています。 1時間早く目的地に到着でき、その1時間で3000円以上稼げる人は田舎にどれだけいるのか、については検証されなかったのです。
財政を悪化させ、環境を壊しても、時間を短縮して「便利」になる道を選んだ自動車社会は、燃料高、原材料高、環境問題の3つの大きな壁に直面しています。 原油急騰で、トウモロコシやサトウキビを原料にするバイオエタノールが注目されています。
アメリカやブラジルが生産に力を入れるガソリン代替燃料で、これまでは採算面から食糧として出荷した方がよかったのですが、原油の値段が3年前の3倍となったことで一気に転作と転用が進みました。 バイオ燃料ブームは「世界の8億台の車のために8億人が飢える政策」(武田邦彦氏)という見方もできます。
1ヘクタールの畑で収穫できるトウモロコシから自動車用エタノールを製造した場合、年間に2台分の乗用車燃料を生産するにすぎませんが、そのトウモロコシを人間の食糧とした場合、年間に別人を養うことが可能、という試算があるそうです。 穀物のバイオ燃料化が進めば、食糧としての穀物価格の高騰につながり、自動車(世界に8億台)のために、飢えに苦しむ人々(地球上に8億人)に影響が出るというのです。

自動車文明にどっぷり浸かったアメリカは、バイオ燃料化戦略を進めていますが、環境や食糧確保の観点から批判を浴びています。 後期高齢者医療制度について、「(保険料という)入山料を取る現代版姥捨て山」だとする報道が相次いだことは前講で述べました。
保険料の内訳をみると、5割は税金(納税者)負担で、4割は現役世代の健康保険組合からの支援で賄われ、当事者(乃歳以上)の負担は1割しかありません。 若い勤労者が多い派遣社員の健保は「後期高齢者支援」のためにかなり値上げされています。
その負担は派遣労働者の「重荷」として直撃しています。 報道されるのは、高齢者の不安や痛みばかり。
「高齢者はみな弱者」という記憶がマスコミや政治家に刷り込まれているからでしょう。 メディアの世界に身をおくと、人々の記憶(イメージ)が政策決定(やその評価)にいかに大きく影響を与えているかを考えさせられることがあります。
過去の残像は、単なる記憶ではなく、政策の判断材料や推進力になっています。 一人ひとりの日常のささいな経験の記憶は、政治や社会、マスコミから大きな影響を受けることはありません。
ところが、マスコミが連日大きく報道するような事象は別です。 どんな印象を受け、どんなことを記憶として残し、それを将来にどう生かすかは、メディアの報道をはじめ周囲の影響を大きく受けます。
社会的現象は「社会的イメージ」を形成しますが、マスコミの報道ぶりに大きく左右されているのです。 私が記憶と経済行動の関連について大きな関心を持ったのは、『地価「最終」暴落」地価が大きく下がる、生涯雇用や年功序列型賃金が崩れる時代に、皆が高値でマイホームを買うと、そのマイホームが、最悪の場合には、買った人の未来を拘束する装置になってしまうという主張をしました。
地価下落によって生じた含み損を抱えたまま市場価値の落ちた家に住み続けなければならないとすると、マイホームは生きる上での足柳となってしまいます。 バブル崩壊後の卯年代、住宅価格が値下がりしてしまい、担保価値も下がってローンが清算できないため、住み替えもままならない物件を、私は「生涯監獄」という言葉で表現しました。

高度成長が続いた時代は、値下がりしない住宅を買うことは上昇気流に乗るためのありがたい未来拘束装置だったのです。 経済が下り坂の時代は、住宅は含み損発生装置となり、ローン支払いのため、住む人の人生も下り坂に拘束してしまうことが少なくありません。
こうしたシナリオは、不動産マーケットからの警告としてすでに兆候に現れているのですが、それでも買ってしまうのは、「不動産はまた値上がりする」というサラリーマンの持ち家に対する記憶と信仰が変わっていないからです。 目の前で変化が起きていても、判断に影響する記憶を書き換えられない限り、行動の修正はできないのです。
戦後、世界を支配したケインズ政策の背景にある人々の「記憶」をたどってみましょう。 いわゆるケインズ政策の要諦とは、需要の急激な、あるいは構造的な落ち込みを政府が(需要として)補って、需要と供給のギャップを「一時的に」埋めるという政策です。
ケインズ政策が形成されるころの設計思想、設計事情、時代背景はどうなっていたのでしょうか。 ケインズ政策は、人々が過去に経験したこともなかった世界恐慌、1929年皿月型日のニューョーク株式市場の株価大暴落(暗黒の木曜日)に端を発しています。
多くの人が強烈に脳裏に焼き付けた記憶です。 株価暴落の後、アメリカのGDPは一時的に半減しました。
経済活動は極度に低迷し、企業や金融機関の破綻が続き、失業者が町にあふれました。 それまで経済学は市場中心の価格メカニズムへの信望が厚く、市場の力を使えば、生産や雇用など様々な領域の不均衡が解決される、と信じられていました。
それまで経験をしたことのない世界恐慌では、問題を解決してくれる市場機能、つまり「価格の調整機能」に頼っていては、世の中の混乱が収拾できないことがはっきりわかります。そこでケインズは、緊急出動的に政府が市場に介入して、不足している需要をつくり出すこと(有効需要創出)で、不均衡を一気に是正するという政策を考え出しました。 株価が急落して大不況に突入した「暗黒の木曜日」以降、米国の政策もそれを取り入れ、緊縮財政で不況を乗り切ろうとしたフーバー大統領に代わり、ケインズ政策の申し子のようなルーズベルト大統領が積極的な政府の財政投資(ニューディール政策)で景気回復を図りました。
ケインズ政策は、かつてないほどの大恐慌という非常時に対応した政策でした。 別世紀に入ってからも先進国は植民地主義によってその経済体制を維持してきたのですが、過剰生産力は海外の領土を求めていました。
戦争と植民地が、波のある需給ギャップを埋める手段として使われてきたわけですが、植民地獲得戦争も終盤に入り、過剰生産力のはけ口となるフロンティア(新天地)は手に入りにくい状況になっていました。 つまり、植民地の代わりの役割をケインズ政策に求めたのです。

元々、非常時の政策だったケインズ政策は、戦後帥年以上も命脈を保っています。 大恐慌の危機から救ってくれたという成功体験は、ケインズ政策を必要以上に美しく見せたのです。

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